2018.02.23
【写真上段:受賞者・ご臨席者の皆さん、写真中段:主催者(日本ホテル教育センター 石塚勉理事長)挨拶、写真下段:来賓(観光庁観光人材政策室長 川村康二様)ご挨拶】
*2018年2月20日(火)東京ビッグサイト、第46回国際ホテル・レストラン・ショー会場内
審査委員長の論文総評と受賞者コメント
1. 審査委員長の論文総評(石川 尅巳 株式会社ジェイティービー 元常勤監査役)
審査委員を代表して、第7回学生観光論文コンテストの総評を述べさせていただきます。全体で33大学・1専門学校より合計76編の応募をいただき、そのうち7編を最終審査させていただきました。応募された学生の皆さんそれぞれが、日本の観光の現状を把握されており、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催年において訪日外国人客4,000万人を目指し、産学官一体となった観光立国実現に向けた取り組みについての意識も、ますます高くなっていることが窺えました。
さて、7編の最終審査に進んだ論文の審査でございますが、例年同様に学生らしい生き生きとした論文が目立ち、審査委員一同、順位をつけることに苦労いたしました。しかしながら今回は、傑出した論文について見出せず、残念ながらコンテストの最高の賞である最優秀賞(観光庁長官賞)は該当なしという結論に至りました。
厳しい結果となりましたが、以下の2点については審査の過程にて審査委員の方々から出された意見でありますので、今後の論文執筆等において参考にして頂きたいと思います。
一、学生らしい発想をもって、テーマについて仮説を立て、その調査については現地に赴き実施し、その調査データを基に、結論を導き、実現可能な提案で締めくくるような論文構成を心掛けて頂きたいということ。
二、最近は、インターネット環境が整備され、インターネット上であらゆる情報が入手できるようになりました。今回の応募も多くの方が、インターネット上での情報を参考資料等で掲載しております。もちろん、インターネットからの情報も有益なところはありますが、やはり時間をかけて、テーマについての専門書籍や先行研究論文等も読んで見聞を広めて頂きたいということ。
以上のような審査過程を踏まえ、今回は、優秀賞(公益財団法人日本ナショナルトラスト会長賞)として、横浜国立大学経営学部3年 丹野百絵(たんの ももえ)代表がまとめたテーマB『古民家を活用した観光まちづくりのあり方』、同じく優秀賞(一般社団法人全日本シティホテル連盟会長賞)として、駒澤大学経済学部3年 田中由香(たなか ゆか)代表のテーマC『複数都市協力型MICE開催による日本のMICE競争力の向上 ~主要都市MICEに対抗するための地方都市MICEの在り方~』の2点が選出されました。また、優秀賞相当として、同志社大学商学部3年 高木颯希(たかぎ さつき)代表のテーマA『アニメ聖地巡礼を活性化させるためのモデルプランの提案 ~世界が訪れたくなる観光立国、日本を目指して~』が審査委員特別賞に選出されました。受賞者の皆さん、本当におめでとうございます。
これからも引き続き学生の皆さんの刻苦勉励を期待します。
最後になりましたが、第7回学生観光論文コンテストを無事に終えることができましたのも国土交通省観光庁をはじめとする各種団体の皆様のご支援とご高配の賜物と深く感謝し厚く御礼申し上げます。
2. 受賞者の声
1) 優秀賞【 公益財団法人日本ナショナルトラスト会長賞】 :横浜国立大学経営学部 3 年 丹野百絵(たんの ももえ、代表)・甲斐安浩・鴨志田直紀・山本章郎、テーマB『古民家を活用した観光まちづくりのあり方』
今回、私たちが書いた論文が公益財団法人日本ナショナルトラスト 会長賞(優秀賞)をいただいたことを、非常に喜ばしく思うとともに、非常に光栄に思います。
この論文を作成する上で私たちが最も苦労したことは「テーマ設定」です。私たちが選択したテーマは「自然や文化を活かした魅力ある地域づくり ~ナショナルトラスト活動でできること、私の提案~」でした。まず私たちは、森林などの自然や伝統工芸や地域の慣習などといった文化を取り上げて、それを保護・活用して魅力ある地域づくりをするということが、ただ単純すぎて面白みに欠けるなと感じました。そのため、何か違った視点で「文化」と言えるものはないかとグループでアイデアを出し合いました。いくつか出てきたアイデアの中で、最も日本の「文化」として結び付けられると考えられたものが「古民家」でした。古民家をどのようにして日本の文化として捉え、古民家をどのように活用して地域活性化につなげるかを、時間をかけていろいろ考えたことが論文を作成する上で最も苦労したところです。
このような苦労とメンバー全員の努力があってこそ、優秀賞をいただけたのではないかと思います。最後に、このような素晴らしい賞をいただけたことに感謝します。ありがとうございました。
2)優秀賞【一般社団法人全日本シティホテル連盟 会長賞】:駒澤大学経済学部 番場ゼミナール 3 年 田中由香(たなか ゆか、代表)・及川侑香・倉品果歩、テーマC『複数都市協力型 MICE 開催による日本の MICE 競争力の向上 ~主要都市 MICE に対抗するための地方都市 MICE の在り方~』
この度は、栄えある一般社団法人全日本シティホテル連盟会長賞という名誉ある賞をいただき、大変光栄に思います。
本論文では、日本で開催されているMICEの現状・問題点を踏まえて、MICEの競争力強化のためには地方都市でのMICE開催件数を増加させることが重要だと考え、解決策を提案しました。MICEに対する知識がない状態から始めたため最初の頃は苦労しましたが、論文を書き進めていくにつれMICEへの理解が深まり、最終的に私たちの納得のいく論文を完成させることができました。また、この論文作成がきっかけとなり、日本が行う観光立国に向けての取り組みに対してさらなる関心を持つことができました。今回の受賞を力に今後も知識と経験を深め、日本の観光立国化に貢献していきたいと思います。
最後に、執筆にあたりサポートしてくださりました番場博之教授、ならびに調査にご協力頂いた多くの皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
3)審査委員特別賞:同志社大学商学部 西村幸子ゼミ 3 年 高木颯希(たかぎ さつき、代表)・西本匠・杉原朝香・仲島礼哉、テーマA『アニメ聖地巡礼を活性化させるためのモデルプランの提案 ~世界が訪れたくなる観光立国、日本を目指して~』
この度は審査員特別賞に選出いただき、誠にありがとうございました。執筆者一同、歓喜に満ちております。
学生のうちから、一つのテーマに向かってみんなで取り組み、その努力をこのような形で評価していただけたことは大変嬉しいことです。論文作成という経験やこの賞をいただけたことなど、学生時代の貴重な思い出となりました。
アニメ聖地巡礼は、比較的新しい研究分野であるため、今回の論文にとどまることなく今後の更なる発展、成長に注目していきたいと思っております。
また本論文を作成するにあたり、とてもたくさんの方々に力を貸していただきました。調査にご協力いただきました団体の方々ならびにご指導いただいた西村幸子先生、ゼミ内での中間報告の際に多くのアドバイスをくれた西村ゼミの仲間たちにこの場をかりて、心より御礼申し上げます。
3.今年度の応募学校名一覧(順不同)
愛知学院大学、跡見学園女子大学、桜美林大学、神奈川大学、関西学院大学、北九州市立大学、京都外国語大学、熊本学園大学、 慶應義塾大学、神戸学院大学、國學院大學、国士舘大学、駒澤大学、芝浦工業大学、椙山女学園大学、専修大学、高崎経済大学、 中央大学、帝京大学、東京大学、東洋大学、東洋英和女学院大学、同志社大学、長岡技術科学大学、長野大学、文教大学、明海大学、明治大学、横浜国立大学、立教大学、立命館大学、琉球大学、和歌山大学、大阪外語専門学校
4.過去の応募論文数と学校数
1)第1回 2011年度 論文数~33編 学校数~ 9大学・3専門学校
2)第2回 2012年度 論文数~61編 学校数~28大学・2専門学校
3)第3回 2013年度 論文数~62編 学校数~27大学・1専門学校
4)第4回 2014年度 論文数〜49編 学校数~27大学
5)第5回 2015年度 論文数~45編 学校数~25大学・1専門学校
6)第6回 2016年度 論文数~51編 学校数~25大学・1専門学校
7)第7回 2017年度 論文数~76編 学校数~33大学・1専門学校
※今回の優秀論文については、3月上旬に、こちらのWebサイトにて公開予定。また、2018年度第8回学生観光論文コンテストの応募要領は5月中旬にリリース予定です。
文と写真:一般財団法人日本ホテル教育センター 事業本部